代役で本番当日に急に踊ることに
冬のシーズンは公演が重なり、ダンサーにとっては体力的にもハードな時期。
さらに風邪や感染症が流行りやすい季節ということもあり、バレエ団では急な「代役(アンダー)」が必要になる場面が多々あります。
時には「たった1日で振りを覚えて本番」という過酷なケースもあり、そんな時に白羽の矢が立つのは、やはり経験豊富な先輩ダンサーたちでした。
入団1年目の頃、必死に振りを覚えるだけで精一杯だった私は、たった1回のリハーサルで舞台に立つ先輩方を、ただただ感心して見つめるばかり。しかし、「経験は何物にも代えがたい」というのは本当でした。
■ 当日朝に決まった「当日出演」の打診
先日上演された『眠れる森の美女』。
当初の予定では、私は第1幕の「寛大の妖精」のみを踊る予定でした。
しかし、第3幕で「フロリナ王女」を踊る予定だったダンサーが、急遽降板することに。
そこで、当日急遽、私がフロリナを踊ることになりました。
■ 試されたのは「日常の質」
フロリナ王女は何度も踊ったことがある演目だったので、振り付けへの不安はありませんでした。
ただ、通常は本番までに3〜4回のリハーサルを重ね、心身ともに本番へ持っていくのがルーティン。
今回は、リハーサルわずか1回。
いかに普段のレッスンで身体が作られているか、そして、不測の事態に動じない「舞台経験値」がどれだけ備わっているか。まさに自分の「プロとしての地肩」が試される公演となりました。
■ 本番を終えて
結果は、無事に大きなミスなく終幕。
もちろん細かな改善点はありますが、パニックになることなく、落ち着いて舞台を楽しめました。
「いつ何が起きても、最高のパフォーマンスを出す」
そのために、日々の基礎レッスンがいかに大切か。そして、一つひとつの舞台経験がどれほど自分を強くしてくれるか。改めてその重みを実感した一日となりました。

